■ はじめに:人は「正しい」より「信じられる」に動かされる
接客や営業の現場で、
「この人、なんか信頼できるな」って感じたこと、ありませんか?
実はその感覚、**心理学的に説明できる“印象のバイアス”**が働いています。
今回は、放送大学で心理学を学びながら、
現場ではiPhone修理・ライター業を実践している私(石井)の視点から、
- 方言
- 笑顔
- 伝え方(あえて70%)
という日常的なふるまいに潜む**「信頼を生む仕組み」**を、心理学の3つの概念で読み解いてみます。
① 方言は「ステレオタイプ・バイアス」を引き起こす

方言って、人に与える印象がガラッと変わります。
- 関西弁 → 明るくておもしろそう
- 東北弁 → 朴訥でまじめそう
- 博多弁 → やさしそう・素直そう
これらはすべて、心理学でいうステレオタイプ・バイアス(固定観念による偏見)です。
話し方という“表面的な情報”に対して、人は無意識に「その人らしさ」を当てはめてしまう。
もちろん、
「古臭そう」「頭悪そう」といったネガティブな偏見も含まれます。
でも大事なのは、このバイアスを逆手に取れば“信頼されやすい印象”をつくれるということ。
② 「なんとなく信頼できそう」はハロー効果だった
もうひとつ有名なバイアスが、ハロー効果(Halo Effect)。
これは、「ある特徴」が「全体の印象」に影響してしまう現象です。
- 清潔感がある → 仕事も丁寧そう
- 声がやわらかい → 人柄もやさしそう
- 笑顔が多い → 誠実・信頼できる人に見える
つまり、第一印象で“信頼される人”に見えるかどうかは、
ひとつの要素(見た目・話し方・表情)でほぼ決まってしまうということ。
■ 実際の現場で起きた変化:iPhone修理店での接客
私は、福岡でiPhone修理店を経営しています。
元はシステムエンジニア(SE)だったので、当初は店頭でも正確で論理的な説明を心がけていました。
でもあるとき、こう感じたんです。
「こっちは正しく話してるつもりでも、お客さんが緊張している」
そこで思い切って、接客スタイルを変えました。
- 博多弁をあえて多用する
- 情報の正確性は70%くらいにとどめ、
「細かく言えばこうですが、ざっくり言うと…」という伝え方に切り替える - さらに、「あえて70%で話してます」と前置きして伝える
これは、私がもう一つの専門であるライターの視点から導き出した判断です。
「伝える」とは、
“正しく届ける”ことではなく、“正しく伝わる”こと。
言葉選び、情報の温度、話すテンポ。
それを変えた結果──
リピーターが急増しました。
「話しやすくなった」「信頼できる気がする」
そんな声を多くいただくようになったのです。
これはまさに、ハロー効果 × ステレオタイプ・バイアス × 表現設計がうまく噛み合った結果でした。
③ 笑顔は「感情のため」より「印象のため」に使える
ここで紹介したいのが、顔面フィードバック理論(Facial Feedback Hypothesis)。

「表情が感情をつくる」という仮説です。
たとえば、
口角を上げる笑顔の形をすると、
脳が「今は楽しいのかも?」と勘違いして気分が上向く──というもの。
でも実はこの理論、心理学的には“決定打”が出ていません。
- 効果があったという研究もあれば、
- 「再現できなかった」という反証もある
=「笑顔で気分が変わる」は、人による/状況によるというのが今の見方です。
でも、笑顔は“相手の印象”には確実に効く
ここが大事なポイント。
たとえ作り笑いでも、
笑顔があると人は「話しやすそう」「信頼できそう」と感じる。
これはハロー効果の代表例であり、
「笑顔は感情じゃなく、スキル」として使えることを意味します。
■ まとめ:方言 × 笑顔 × 伝え方= 信頼設計のトライアングル
心理学の知識を実務に活かすとは、

小手先のテクニックではなく、“相手の認知の流れ”を設計することだと思っています。
- 方言で距離を縮め
- 笑顔で印象をやわらげ
- 情報は100%でなくても、伝わるように整える
これだけで、
「やさしくて、かしこそう」な印象は、ちゃんと“つくれる”。
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■ 本日のまとめワード
「信頼」は、知識と感性の“かけ合わせ”でつくる。