「居心地がいい店」じゃなくて、「居心地が“よく見える”店を作る」
飲食店で「居心地がいい」って思われることは、めちゃくちゃ重要です。
でも、実は大事なのは “本当に” 居心地がいいかどうかよりも、
「よく見える」かどうかだったりします。
たとえば、こんな店を想像してください。

- 店の奥に観葉植物がひとつ置かれている
- 照明が奥に向かって少しずつ明るくなっている
- 奥に座っているお客さんが、ゆっくりした動きで会話している
このとき、まだ何も食べていない段階でも、人はこう感じます。
「なんか、この店…落ち着きそう。」
■ それ、錯覚です。
でも、悪い意味じゃなく、心理的な“よい錯覚”。

人間の脳は、目に入る情報から「居心地」や「安心感」を勝手に判断します。
心理学的にはこれを視覚的錯覚(visual illusion)と呼び、
とくに空間や配置に関する錯覚を生む法則のことをゲシュタルト原理といいます。
■ たとえば:
- 遠近法の錯覚 → 奥行きがあるだけで“落ち着きそう”に見える
- 近接の法則 → 物や人が適度にまとまっていると“整って見える”
- ハロー効果 → 植木がある=センスよさそう=店主も良さそう、と連鎖する
つまり、“空間の配置や見せ方だけで”、お客さんの印象は操作できます。
これが、**最初の現象を「こちらから仕掛ける」**ということ。
■ 居心地の良さは、作れる
ここで言いたいのは、「嘘をつけ」じゃないです。
“ちゃんと中身がある店”こそ、最初の印象を丁寧に作る必要があるということ。
だって、お客さんが入ってこなかったら、
中身を体験してもらう機会すら生まれないから。
■ 最初の印象で「現象」を起こす
心理学では、印象や判断は“情報”より“雰囲気”で先に決まるといわれています。
人間は、頭よりも“感覚”で判断する生き物。
つまり、植木ひとつ、照明の当て方ひとつで、売上が変わるってこと。
■ この投稿は「現象から概念化へ」5回シリーズの1回目です
次回は、「人の配置で“にぎわって見える”錯覚」をテーマにお届けします。
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