「なんとなくの成功体験」を、“再現できる構造”に変える──メタ認知の心理学

ビジネスに役立つ心理学

「前にこうやったらうまくいった」という経験。
そこに意味をつけて、自分の中の“型”として残す──
これが前回お話した「スキーマの形成」でした。

でも、自分だけがなんとなくわかっているだけでは、
それを他人に伝えたり、チームで共有したりはできません。


■ 経験を「構造」に変えるとは?

たとえば、こんな状況を考えてみてください。

  • 新人スタッフに接客のコツを伝えたい
  • 自分がなぜその対応をしたかを、他のメンバーに共有したい
  • 同じパターンの問い合わせに、いつも同じように返せるようにしたい

これらはすべて、**「経験を構造化する力」**が問われる場面です。


■ メタ認知とは?

心理学では、自分の思考や行動を一歩引いて見つめ直し、
構造として整理する力を「メタ認知(metacognition)」
と呼びます。


たとえば…

  • 「このタイプのお客さんには、こういう伝え方が響く」
  • 「こう返すとクレームにならない確率が高い」
  • 「この順番で説明すると理解してもらいやすい」

こういった経験ベースの知見を、
“パターン”として整理しておくことが、構造化の第一歩です。


■ 思考の言語化が、「使える知識」になる

メタ認知の大事なポイントは、
「頭の中の感覚」を外に出す=言語化すること

  • 頭の中にある「うまくいく感覚」
  • 経験を通じて見えた「判断の流れ」
  • うまくいかなかったケースとの比較

これらを整理して、自分だけでなく他人にも伝えられる形にする
そのとき初めて、「知ってる」じゃなく「使える」になります。


■ 経験を型にすることで、人にも伝わる

構造化された思考は、**マニュアルではなく“共有できる資産”**です。

たとえば:

  • チームで接客対応の方針が揃う
  • ライティングのテンプレートとして再利用できる
  • 誰でも同じレベルで実行できる仕組みに落とし込める

これが、「思考の構造化=再現性のデザイン」です。


■ この投稿は全5回シリーズの4回目です

次回は、経験と判断を「見える形で整理する方法」として、
ペイオフマトリックスを活用する心理的アプローチを紹介します。


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