売れないのは根性じゃない?「売らせても売れない」の心理構造とは?

ビジネスに役立つ心理学

時間がない方は、YouTubeショートに概要があります


「売ってこい」と言ったのに、なぜ売れないのか?

「これ、売っておいてね」
「おすすめしといて」

──オーナーや現場責任者なら、スタッフにそう声をかける場面、少なくないと思います。
でも現実には、思ったように動いてくれない、提案してくれない、結果も出ない──そんなことばかり起きていませんか?

そして次に来るのは、こんな気持ち。

「自分が売ったら通るのに、なんでスタッフはできないんだ?」
「やる気がないのか?根性が足りないのか?」

でも実はこの「売れない現象」、根性論では説明がつかない心理構造で起きているんです。


スタッフの行動を止めるのは「反発」ではなく「防衛」だった

売れないのは、能力不足でも性格のせいでもありません。
スタッフが“やらない”のではなく、“動けない”状態に陥っているケースがほとんどです。

なぜか?
その背景にあるのが、心理学でいう「リアクタンス」という反応です。


心理的リアクタンスとは何か?

リアクタンスとは、人が「自由を奪われた」と感じたときに起きる反発の心理です。
強制されたり、押し付けられたと感じると、無意識に反発したくなる。

たとえば:

  • 「絶対これがおすすめです!」→ 急に信用できなくなる
  • 「これしかないですよ」→ じゃあいらないかも…と引く

つまり、「売ってこい」という指示は、言われた瞬間に“動けなくなる呪文”になりかねない


行動しないのは「やる気がない」わけじゃない

ここが現場で一番誤解されているポイント。

売れない=やる気がない、と捉えられがちですが、
実際は、「断られたくない」「押し売りだと思われたくない」など、“自分を守ろうとする感情”が先に立っているだけなんです。

これは反抗ではなく、防衛反応
だから、強く言えば言うほどスタッフは黙る。それがリアルな現場。


「確証バイアス」が生まれない接客は、買われない

もうひとつ重要な心理が「確証バイアス」です。

人は、自分の選択を肯定したくなる生き物です。
「自分で選んだ」「信じて選んだ」と思えば思うほど、その選択に納得しようとする。

でも、スタッフが自信なさげな棒読みトークをした場合、どうなるか?

→ お客は「これでいいのかな?」と疑いを持ち、確証バイアスが働かない
→ → 結果、選ばれない(=売れない)


売ることは、押し込むことではない

高利益商品や新メニューを売りたい気持ちは、オーナーとして当然あります。
でも、「売ってこい」で数字が動く時代は終わっています。

今必要なのは、「売れる空気をデザインする」こと。
そのためにはまず、

  • スタッフが心理的に自由であること
  • 提案が押し付けにならないこと
  • お客が「自分で選んだ」と思える接客であること

この3つの土台が必要です。


オーナーがやるべきは「売れ」より「動ける環境づくり」

「売れ」ではなく、「提案しやすい空気」を作る。
「通せ」ではなく、「選ばれやすい形」に整える。
「失敗するな」ではなく、「断られてもOKな余白」を渡す。

この環境を整えるだけで、
スタッフの接客に「納得」と「確信」が宿り、提案が“売れる行動”へと変わっていきます。


【動画はこちら(YouTube Shorts)】

【要約記事はこちら(note)】

売れないスタッフに「やる気」を求めると、現場が止まる。|石井つかさ
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