「iPhone 16が原因」と譲らない人の脳で起きてる4つのこと

心理学

「iPhone 16にしてから頭が痛くなるんですよ。16だけの不具合でしょ?」

うちは修理屋なので、こういう相談はわりと来ます。私は元ネットワークエンジニアで、画面まわりの話もそれなりに分かる。だから正直に言いました。「いや、それ16特有じゃないと思いますよ」と。

——譲られませんでした。1ミリも。むしろ、こっちが丁寧に説明するほど、お客さんの確信は固くなっていく。最後はもう、私を論破しにかかってくる始末です。

これ、その人の性格が頑固だから、という話じゃないんですよね。人間の脳が、けっこう真面目に働いた結果として起きとる。今日はこの「絶対に意見を曲げない人の頭の中」を、4つの心理に分けてのぞいてみます。先に言うときますけど、私も普通にやります。人ごとやないとです。

まず正直に。その頭痛、たぶん本物です

ここを飛ばすと話がズルくなるので先に置いときます。OLEDの画面って、明るさを下げるときに画面を高速で点滅させて調整してるんです(PWMという仕組み)。この点滅、ほとんどの人は気づかんのですが、敏感な一部の人は本当に目が疲れたり、頭が痛くなったりする。Appleのサポートコミュニティでも昔から相談が絶えんし、新しい機種ではちらつきを抑える設定も増えてきました。

だから「画面を見てたら頭が痛い」を、気のせいで片付けたらいかんとです。症状はある。これは本当。

ただ、ひとつだけズレてる。iPhoneは数年前のモデルからずっとOLEDなんです。つまりこれ、もし起きるとしても「16特有」じゃない。症状は本物。でも原因の名指しが怪しい。このたった一点のズレが、今日の心理学の入口になります。

答えを先に決めると、脳は「合う証拠」しか拾わない

「16のせいだ」と一回思い込むと、人は無意識にそれを支える情報だけを集めはじめます。確証バイアスってやつです。「iPhone16 頭痛」で検索すれば、同じこと言ってる人は必ず出てくる。で、「ほら、やっぱり」となる。

これ、検索じゃなくて答え合わせなんですよね。反対の情報——他の機種でも起きるとか、明るさや使用時間の問題かも、みたいな話——は、目に入っても素通りしてしまう。脳は省エネが大好きなので、いったん決めた結論をひっくり返す作業を全力で避ける。けっこう正直な臓器です。

おまけに「これは体に悪いはずだ」と身構えると、その予期自体が症状を強めることもある(ノセボ効果)。症状が本物であることと、原因の決めつけが正しいことは、まったく別の話。ここがごちゃっと混ざるのが、思い込みの怖いところです。

「ちょっと調べた人」ほど、なぜか自信満々

で、いちばん厄介なのがこれ。ダニング=クルーガー効果。雑に言うと、知識が浅いときほど自分の正しさを過大評価しやすい、というやつです。

20年その道でやってる人の「たぶん違いますよ」より、昨日3時間ググった自分の結論を信じてしまう。これ、意地悪で言ってるんやなくて、浅いと「自分が何を知らないか」自体が見えんとですよ。地図を持ってない人は、道に迷ってることにも気づけん。だから自信だけは満タンになる。

これは誰でもなります。私も自分の専門外の話だと、たぶん毎回どこかでやらかしてる。だから人のことを笑えん。

否定されるほど、人はかえって固くなる

ふつうに考えたら、専門家に「違いますよ」と言われたら「あ、そうなんや」と引きそうなもんです。でも、逆のことが起きる。自分の信念に反する事実をぶつけられると、人はかえって元の考えに強くしがみつく。バックファイア効果、あるいは信念の固執と呼ばれる現象です。

つまり、正論でガンガン否定するほど相手は燃える。あの日の私の丁寧な説明は、まあ見事に火に油やったわけです。良かれと思って論破しにいって、心理学的にいちばん逆効果のことをしとった。とほほ。

「正しさ」をぶつけるのをやめて、ハンドルを渡す

じゃあどうするか。否定をやめて、検証の主導権を相手に渡すとよかです。

「じゃあ一回、明るさ下げて、ナイトシフト切って、別の機種でも同じこと起きるか試してみません?」——こう言うと、相手は自分で確かめにいける。人は、人に言われた結論は飲まんけど、自分で見つけた結論はすんなり受け入れるとですよ。勝ち負けの土俵から、一緒に調べる土俵へ。これだけで空気が変わります。

そして、これ全部そのまま自分にも返ってきます。私もきっと、どこかで「16のせいだ」と言い張ってる側におる。賢い人っていうのは、たぶん物知りな人やなくて、自分の確信を一回だけ疑える人のことです。意見を曲げんのは強さやなくて、ただ脳がサボりたがってるだけ——かもしれん、くらいに思っとくと、ちょっと楽になります。

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