時間がない方はショート動画にまとめてますのでどうぞ。
◆ 1. 粒度って何?
文章における「粒度」とは、情報の細かさ・粗さの度合いを意味します。
つまり、「どこまで詳しく書くか」「どこまでざっくりまとめるか」を設計する感覚のことです。
たとえば、初心者向けの記事では大きな粒度(ざっくりした説明)で、
専門家向けの記事では小さな粒度(細かい説明)で書く。
このように、読者に合わせて情報の細かさを調整することが、読みやすい文章を作る基本になります。
◆ 2. 粒度がズレると何が起きる?
粒度が適切でないと、読者はストレスを感じます。
- 細かすぎる場合
→ 専門用語やディテールの説明が続き、読者が疲れて脱落する。 - 粗すぎる場合
→ 具体性がなくて、内容が薄っぺらく見え、信用されにくい。
つまり、粒度のズレ=読者との温度差です。
「なんか読みにくいな」と思われたら、その原因は粒度にあるかもしれません。
◆ 3. 文中でも粒度をコントロールしよう
以前の【Lesson 06:結論は最初に出そうよ】でも学んだ通り、
文章はまず大きな粒度(ざっくりとした結論)からスタートし、
そのあと徐々に粒度を細かくしていくと、読者は安心して読み進められます。
例:
- 最初:「週末リフレッシュには国内旅行がおすすめです。」(大きな粒度)
- → 次に:「日帰り温泉やご当地グルメを楽しめるスポットが人気です。」(細かい粒度)
この粒度の変化=情報の緩急を意識することで、文章は自然な流れになります。
◆ 4. 【実例】粒度がバラバラだと読みにくい(蜘蛛の糸Ver.)

ここで、いつもの芥川龍之介『蜘蛛の糸』をモチーフに、粒度がバラバラな悪文例を見てみましょう。
地獄の底には無数の罪人がうごめいていた。
地獄にはいくつかのエリアがあり、例えば火の池、針の山、血の川など、それぞれに特有の責め苦が存在する。針の山では長さ約2メートルの鋭利な鉄の針が地面から無数に突き出していて、うっかり足を滑らせると体に突き刺さる仕組みだ。そんな地獄の中で、カンダタは膝をつきながら呻いていた。
そのとき、蓮池の下から一本の蜘蛛の糸が降りてきた。蜘蛛は体長2センチほどの小さな種類で、日本でよく見かけるアシナガグモに似た形をしている。カンダタはそれに気づき、すがる思いで糸に手を伸ばした。
問題点:
- 地獄全体→針の山ディテール(急に細かい)
- カンダタ→蜘蛛の種類(また超細かい)
→ 粒度が行ったり来たりして、読者の集中力が削がれる
◆ まとめ:粒度は“読者の読み心地”を作る技術
- 粒度とは、「どこまで詳しく書くか/省くか」の情報設計力。
- 最初は大きな粒度でざっくりまとめ、少しずつ細かくしていく。
- 粒度を途中でガチャガチャ変えると読みにくくなる。
- 読者のレベルや興味に合わせて、粒度を調整しながら書こう。
【次回予告】
【粒度02】細かすぎる文章の落とし穴〜情報過多で読者を疲れさせないために〜
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